去年の12月に日本で公開されて話題となっている韓国映画、「パラサイト 半地下の家族」を先月観てきました。
このデザイン、インパクトありますよねー。
お金持ちの家族を囲む、お金持ちじゃない家族。立ち振る舞いや、服装に身分の差が表されているような絵。
あらすじ
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。
(一部省略)
パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。
これが、公式サイトに書かれているあらすじです。パラサイトは寄生生物のことですが、あらすじにあるように金持ち一家の家庭教師をすることから、タイトルにあるパラサイトともいえる生活が始まるわけです。
どうやら、パンフレットにネタバレをしないよう書かれているようなのもあって、ここではネタバレにならない程度に、この映画を見て感じたことを書こうと思います。
私も、この映画はネタバレを見ずに、劇場で観るべきだろうと思います!
ちなみに私は、話題になっていて、思ったより暗くないということだけ知った状態で見に行きました。
ただ単に思ったことを書いてみました。
半地下の家について
主人公一家は、半地下の家に住んでおり、お世辞にも裕福とは言えない暮らしをしています。
半地下はどのくらい半地下かというと、欄間くらいの幅だけ、外に開口があるようなつくりで、これどっちかというと地下なのでは?と思いました。
日本の感覚ではあれは地階かなー。
欄間分くらいがガラス窓になっているので、そこから外が見えるんですが、家の作りや、見える景色が貧相なだけで、それを除くとなんだか雰囲気があって、良いなと思ってしまいました。
ただ外を歩く人からはわりと丸見えな食卓です。嫌です。笑
去年も豪雨で地階がある建物は被害が大きくなっていましたが、住むには不適ですね(。-_-。)
水圧の関係でトイレが高い位置にあるのが印象的でした。昔の家にある、一段高い位置にある洋式トイレを思い出しました。和式トイレを改造した結果だとは思うんですが、雰囲気似てました。あと、飲み屋で一段上がるタイプ、見かけたことがあります。水圧低いの…?笑
パク一家の家について
住宅が豪邸すぎて楽しかったので語ります。笑
パク一家は、高台に住んでいるお金持ち一家です。この自宅がまた本当にお金持ちな感じが伝わってきます。地下一階、地上二階な、お金持ちにありがちな鉄筋コンクリート造の立派なお家です。(私のイメージ)
日本では芦屋だったり白金台だったり、このあたりが富裕層の住む地域であって、高台なのが一般的ですが、韓国でも同じなんだなと思いました。
高台といっても、造成された新興住宅地でなく、昔からあり地盤が良く、災害などもないところが選ばれていますよね。
それにしても、韓国のパク一家の住まいの地域はものすごい傾斜の坂道でした。
芦屋の角度が近い気がします。休む場所のない坂道、豪雨の時は、もはや滝になりそうなくらいの。
もう、歩くための道じゃないんですよね。車やタクシーなど、自分の足で移動しない前提の立地、条件すぎる。笑
設定として建築家が自邸として建てた住宅で、その建築家が今のパク一家に譲り渡したよう。
高低差が凄いので、メインエントランスの一階まで、それなりの段数を登って入ってました。外構階段を登ると横に庭が見えるんですが、素敵でした。木から植栽?までさまざまなものが植えられてました。
目隠しの意味合いが強そうな気もしますが、高低差があるのでそこまで目立たなそう。高低差がある土地の建物のいいところって目線が気にならないところですよね〜〜あとは怖いから嫌ですけど!笑
両家の書き分けについて
パク家から雨の中帰るシーンがあるんですが、だんだんと、周りの景色が、高級住宅街から一般住宅街、そして、貧民街へと移りゆくように描かれています。
立派な夢のような場所から、現実へとゆっくりと帰っていくのが辛い。帰るのが夜で、人がいない道を雨に濡れながら帰る家族。
一般家庭に帰るならまだマシで、頂点から底辺に、真逆の立場を味わった上で帰ることがどんなに虚しく、詫びしいか。
セリフもなく、淡々と歩いて帰るだけのシーンなのに、私の記憶にとても残っている。ポジティブな感情ではなく、ネガティブな感情として、とても印象的なシーン。
お金のゆとりは心のゆとりを作ります。お金に余裕が無くなれば、人はイライラしやすくなるし、争いも起きやすくなり、性格も歪む可能性が増えると私は思っています。
パク家が元から裕福なのかはわからないけど、あの人たちには、終始ゆとりがありました。言動にも、行動にも。キム家にはあまり、無いように見えました。したたかに生きなければ、生き残れない、必死さが漏れ出ていました。
この対比の書き分けが、映画で終始目立つ。
パク家の奥さんは、人を疑わない。だからこそキム家を信じて招いてしまうわけです。キム家の演技力が凄いとも言えます。笑
世の中の、猫を見てもこんな感じですよね。野良猫は、やらねばやられる、という弱肉強食が顔にも出ていることが多いけど、生粋の家猫の穏やかな顔つき。これは本当にわかりやすいと思います。
後者には野性味が無いんです。パク家と同じ。
前者は、生き抜くために真剣で、体はだいたい痩せている。
そんな猫社会の縮図を見せられた気分になりました。
終わりに
面白く、どうもコミカルに描かれているらしいことを聞いたので見に行ったわけですが、最後の方は暗いです。
前半は確かに、悲しい内容も笑い飛ばせるように作られているので、まだ良かったのですが、後半は結構辛くなりました。
万引き家族も、タイトルからしてこれはしんどいジャンルだと思い見なかった私です。
結局、すぐそばにある、自分もなりえる不幸さが、近すぎて辛いんです。
基本的に悲しそうな話は見ないようにしているので、今回久しぶりに悲しいネタに触れてしまい、少し落ち込みました。
日本でなく韓国だったのでまだマシだった気もします。韓国は本当にこんな社会が広がっているんでしょうかね…。日本も、近頃他人事とは言えなくなってきてはいますが…。
この作品に思ったことを一言で言いますと、明日は我が身、これに尽きるかもしれません。
貧困になっても、明るく楽しく生きる精神でいたいものですが、私はきっとキム家のように、捻くれながら、斜に構えながら生きてしまう気がします。
堅実に生きていきたいと切実に思いました。
それでは(^^)v